理由がなければ「好きなこと」を認めてもらえなかった子ども時代
何か新しいことに挑戦したいと言ったときの母の反応は、いつも否定的だった。
「なんでやりたいの?」
「〇〇に本当にそれができるの?」
「えー、お金がかかることはやめてよ」
応援されたことなんて、一度もなかった。
母は、私が望むことを最初から理解する気がなかった。
言葉と表情で否定的な反応を返されるたびに、私は自分の希望を叶えることを諦めるようになった。
「どうせ、応援なんてされないのだろう」
「お金がかかるからと、嫌な顔をされるに決まっている」
「少し興味がある程度では挑戦してはいけないらしい。何か明確な”理由”がなければ、やらせてもらえない」
「自分でも本当にやりたいのかどうか、続けられるのかどうか、自信がない」
そう思うようになったのだ。
新しいことへの挑戦を諦めるようになった私は、親が文句を言わないであろうこと、すなわち「良い大学に入るための勉強」をすることに決めた。
これなら文句を言われないし、結果として良い大学に入ることができたら、自分に自信がつくかもしれないと思ったからだ。
挑戦したことの数が少なく、「好きなこと」が何かもわからないままだけれど、勉強だけはできる自分になれたら、何かが変わるはず。
本気でそう思い込むことにしたのだ。
「好きなこと」がないことに愕然とした大学生時代
一浪をした私は、19歳のときに都内で有名な私立大学の入学試験に合格することができた。
これでやっと「勉強が得意(好き)な自分」を手に入れることができたと思うと、嬉しかった。
しかし入学直後、そんな自信はすぐに崩れ去ることになる。
周りには、勉強ができるだけでなく「好きなこと」「得意なこと」をもっている人がたくさんいたのだ。
各々が、直感に従って気になるサークルに入っていった。
ダンスに興味がある人は、ダンスサークルへ。海外に興味がある人は、英会話サークルへ。スポーツに打ち込みたい人は、体育会系の部活動へと入部していった。
「興味があれば挑戦してみる」ことをしてこなかった私は、自分が何をしたいのか、どこに行けばいいのかがわからず、怖くてたまらなくなってしまった。
少し気になりはするけど、挑戦するための明確な”理由”がない。
だから、やっていいのかがわからない。怖い。
勉強だけではどうにもならない壁だった。
大人になると、純粋に何に興味をもち、何を学ぶのかという、「何」を決めることの方が、ずっとずっと大切だということに気が付いたのだ。
「何が好き」を決めることができなければ、やっと身に付けた「勉強する姿勢」も何の役にも立たないのだった。
「好きなこと」がわからなくなってしまった理由
私が「好きなこと」がわからなくなってしまった原因は、”直感”ではなく”理論”が正しいと教えこまれてきたからだ。
親は無意識的であったとしても、言葉の端々にそのような考えが表れていた。
大人になってスピリチュアルを学んだ私は、大抵のことは”理論”ではなく”直感”が正しいということを知った。
”直感”は、本当にわずかな時間の中で行われるけれど、その中で膨大な潜在意識の記憶が立ち上がり、簡単に言葉では説明のつかない判断が下された結果、行われるものである。
それに対して”理論”は、後からいくらでも言い訳がつけられるもので、”直感”と比べると為されるスピードがかなり遅い。
子ども時代の私は、たくさんの”直感”を無視し続けてしまっていた。
「特に理由はないけど気になる」「何となくやってみたい」そんな直感的な想いを捨てて、理由ばかりを考えるようになってしまっていた。
その結果として、「何が好きかもわからない」「楽しいことなんて一つもない」という状態に陥ってしまったのである。
「好きなこと」を見つけるためにするべきこと
何が好きかもわからないまま大人になってしまった私たちは、一体どうすればいいのだろうか。
私たちがするべきことは、2つあると考えている。
1つ目にするべきことは、自分自身をよく観察することだ。
「胸の高まり」「心のトキメキ」「理由なき憧れ」
そんな現象が自分の中で湧き上がる瞬間を、逃さないようにして欲しい。
2つ目にするべきことは、その直感に従って行動することだ。
「なぜそれをするのか」「生活の役に立つのかどうか」「周りからどう見られるのか」は全て気にしなくていい。
ただ、自分を信じることが大切である。直感は、無数の潜在意識の記憶に基づいて判断されたものだから、信じるに値する。
最近の私は、自分の中に湧き上がる想いに従って行動することが増えたように思う。
挑戦してみて、自分に合わなかったら辞めればいい。また新たな挑戦をしてみて、続けたいと思ったときに続ければいい。
そんなシンプルな思考に変えてから、前よりもかなり自信がついたように思う。
もしあなたが、「好きなことが何もない」ことで自信を失っていたら、まずはあなたの中の小さな想いを大切にすることから始めて欲しいと思う。
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